四半世紀生きたが、どうもあんまり具合がよくない。波乱と呼べるほどの大きな災難も、またその逆もなく生きてきた。衣食住に困ることなく生きてきて、骨が伸び、肉がついて、身体を手に入れた。「大きくなったね」と盆暮れに目を細められた分、私は鏡を覗いて「老けたなあ」と思わねばならない。成長と老化は便益が大きく異なるだけで、同じことだ。ただ滔々と生きていくよりほかがない。生きていくということをただ重ねるだけでは何もよくならない。生きていくことだけで精いっぱいなのに、我慢したり努力したり挑戦したり継続したり、しなくちゃだめ。騙された。誰だ、「生きてるだけで丸儲け」と言ったのは。さんまか。私は生きてるだけでジリ貧だ。利息を払うので精いっぱいだ。「涙の数だけ強くなれる」も嘘だし、「ナンバー1になれなくてもいい もともと特別なオンリー1」というのも嘘それらを信奉したつもりはなかったが、心のどこかでよりどころとしてしまっていたのかもしれない。「そうであってほしい」と「そうである」は同じ線上にはない。